日本の子どもの「自分で考えるスキル」を奪うのはドリル帳

日本の教育の渦の中で悪戦苦闘するお母さんたちのブログを見ていると、「あ〜あったな、こんなの。」と。

そして。
「え?ちょっと待てよ。」と苦笑いをしてしまいます。

先日も「カナダからびっくり:日本はまだ英検やってたんですか?!」でもびっくりしたように、「夏休みのドリルまだやってたんですか?」にまたまた驚いてしまいました。

古い。。ですね。 

何ページ進んだ!だけが目標となる、例のドリル帳ですね。
なぜか夏休みになると宿題にも出されるようで、昔息子たちが異様に嫌がっていたのを覚えています。

確かに、小学生低学年には何か達成感もあるような(ないような)基本練習は役に立つでしょうね。
カナダの小学生と比べて、日本の小学生の方がはるかに基本的な練習には長けており、根気強く机に座って言われたことをやりますね。
ですから、掛け算の九九なども覚えるのが速いし、漢字の基本練習などは日本人として必須のものかもと思います。

でもね。
それを延々と年齢に関係なくやり続けるのは、脳の発達段階とは逆行してしまいます。
子どもの脳は段階を経て発達して行きますので、それに合わせて親としてはそっとサポートすることが大切です。

結論から言うと(ちょっとショッキングかな)、小学校3年生くらいになってもいつまでおの「言われるまま反復練習のドリル帳、問題集」をやると、脳の次の発達段階に行くチャンスを逃してしまいます。

Developmental Psychology分野で有名なPiagetの説によると(カナダのUBCでかなり集中して学びました):

子どもの知的能力の発達には7歳から11歳にかけて大きな変化がある。この時期には、子供は「自分で考えるスキル」を発達させて行く。周りにある目に見える具体的な物事とそれを取り巻く状況とをむすびつけて考えることが出来るようになって行く。
この段階を経て11歳頃から、抽象的で仮説を用いた考えも発達して行く。

日本の教育での大きな間違いは、意味のない機会的反復練習こそが小学生の教育だと言わんばかりに、ドリル帳、問題集で子どもの時間を奪います。中学生になっても高校生になっても問題集の呪縛から逃れることの出来ない日本の生徒たち。
7歳から11歳程度までの脳の大きな変化を逃してしまった日本の子どもたちは、「自分で考えるスキル」を発達させるチャンスを失ってしまいます。

脳科学から少しお話しますと(HarvardXとういうHarvard大学オンラインのFundamentals of NeuroScienceコースで学んだことです):

脳の発達にはCritical Periodと呼ばれる期間があります。脳はランダムに発達するのではなく、生まれてから一応決まったプロセスで発達して行きます。言語の発達も最初の3年間が非常に重要な期間であるのもそこから来ています。

怖いことには、そのCritical Periodを逃してしまうと、その後は例えば先に述べた「自分で考えるスキル」を学ぶ機会はやって来ません。もちろん、その先に待っているクリティカルシンキングにとって必須である「抽象的で仮説を用いた考え」を発達させる土台さえも脳に作ることが出来なくなります。

それが、「迷子になった日本の教育」そのものだと考えます。

カナダに留学して来る日本人。
とても勤勉でやる気に溢れています。
「自分は出来るんだ。」という自信でいっぱいでカナダの地を踏みます。
しかし、衝撃を受けるのは留学後まもなくです。

地元生徒の「自分で考えるスキル」「抽象的で仮説を用いた考え」能力に度肝を抜かれます。授業の内容にはほとんどその能力が必要となるので、全く迷ったまま適当に一般的なことを書いて宿題を出します。いい成績が取れるわけがありません。
もちろん、先生たちの授業も理解出来ません。先生たちは「自分で考えるスキル」「抽象的で仮説を用いた考え」能力を持った生徒向けに教えているからです。

現在留学中の日本人のみなさん、なぜあなたが学校で困っているのかわかりましたか?
小学生から中学生にかけて、学校から親からやらせられたドリル帳が犯人です。
真面目に取り組んだのでしょうね。
一生懸命やったんでしょうね。

親が「これがいい」「あれがいい」と買って来ては机の上にたまっていったドリル帳。
そう。
あいつが犯人でした。
あなたの「自分で考えるスキル」「抽象的で仮説を用いた考え」能力が育つ大切なCritical Periodを逃してしまったのは。

ショック!
今からどうやって追いつけばいいですか?

脳の再訓練しかないですが、7歳に戻ることは不可能です。
そこで、カナダクラブでやっていることは、本来7歳から11歳で脳が経験しておくべき訓練をカリキュラムに混ぜて指導することです。
そうすれば、少なくとも、自分がなぜ「考えるスキル」がないのか、授業の内容が「抽象的で仮説を用いる」ようになると困ってしまうのかのヒントがわかってきますから。

そして!
これが大事。

日本の親のみなさん、この大切な時期の子供にドリル帳の押し付けはしないで下さい。
優秀な日本の脳が壊れて行きます。

7歳から11歳の時期に一番大切な脳の活動は「読書」です。

読んだあと感想文なんて書く必要はないです。
図書館に行って、子供が自分の好みの本を選んで、読んで読んで読みまくること。
この活動が脳を大きく成長させます。
親も子どもの側で一緒に本を読むのも子供を大きく動機づけ出来ますよ、やってみて下さい。

本を読んで育ってない子どもには残念ながら「自分で考えるスキル」「抽象的で仮説を用いた考え」はまず発達することはありません。(科学的に証明されている説です、残念ながら。)

私の主要研究分野「日本でバイリンガルの生徒を作る」Be Bilingual Programはカナダクラブから提供中です。(めちゃくちゃすごい結果が出て来ています。)その参加者を10歳以上(個人差はありますが)と限定しているのも、Piagetの説に則ったものです。

問題集とドリル帳まみれの日本の子どもたちを助けるために、カナダクラブでは「夏休み英語読書体験」を提供しています。
「本とはどう読むものなのか」についてちょっとだけ背中を押してあげたいと思っています。
日本の子どもにとって忙しすぎる夏休み。
こちらからスケジュールは限定しません。
現在開講中のカナダクラブの直接レッスンの時間を使うかも知れないし、他の方法があるかも知れないし、個々の希望者と相談して決めましょう。
頭ごなしに「はい、この期間これに参加しなさい!」は、今回の目的に沿いませんから。

お母さん、お父さん、ドリル帳なんかゴミ箱に投げ入れて、子どもの机に本をいっぱい積んであげて下さい。
そこから脳の大冒険が始まります。

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